週の労働日数や、1日の労働時間が異なるパートタイマーの有給付与

パートタイマーの場合、当初の労働契約では所定労働日数は月〇日とか週〇日という決め方をして、実際のシフトは前月までに本人の希望を聞きながら設定するというケースがあります。
また家事や育児と両立しやすいようにと、柔軟な働き方に対応している企業では勤務日の労働時間も数種類用意しているケースがあります。これらのケースでは、週の所定労働日数や勤務日毎の労働時間もまちまちで、有給の付与日数や付与日に支給する賃金をどうするか悩むことがないでしょうか。

まず週の所定労働時間が30時間以上の場合は、正社員より労働時間が短く、又は週の出勤日数が少ないパートタイマーであっても正社員と同じ日数の有給を付与する必要があります。週の所定労働時間が30時間未満のパートタイマーには、その勤務日数に応じて有給を比例付与します。付与日数は「週の所定労働日数」または「1年間の所定日数」に応じて、次のとおりとなります。

週所定労働時間 週所定労働日数 1年間の所定労働日数 勤 続 年 数
0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以降
30時間以上 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
30時間未満 5日以上 217日以上
4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 5日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 3日

週の所定労働日数がまちまちとなっている場合は、「1年間の所定日数」で付与日数を決定します。

次に日によって労働時間が異なる場合に年休日に支払う賃金については、労働基準法第39項第6項により、次の3つから会社があらかじめ選択して就業規則等にに定めた方法によって金額を決定します。
① 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
② 平均賃金
③ 健康保険の標準報酬月額(要労使協定)

労働基準法第39項第6項
使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間について、健康保険法第99条第1項 に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
②は有給を付与する度に一人一人の平均賃金を算定する必要があり、管理者の負担が大きく煩雑になります。
③は社会保険に加入するパートタイマーが対象になりますので、限定的です。
そうなると、一般的には①による方法で支払うケースが多いかと思います。①による方法では1日6時間のシフト日に有給を取得した場合は6時間分、4時間のシフト日なら4時間分を支給することになります。しかし、日によって労働時間が異なるケースでは、シフトが決まった後に有給を取る場合、なるべく労働時間が長い日を有給取得日にしようというインセンティブが働く可能性があります。そのため、雇用契約で月の労働時間と労働日数が決めておき、平均した労働時間を有給取得日の通常支払われる賃金として固定しておくのはどうかと思います。
少なくとも平均賃金よりも労働者有利ですし、算出の煩雑さなく、日によって金額の大小も生じないため、労使納得性が高い方法だと思うのですが、まだこの方法についての解釈を示した行政通達は見つけられませんでした。そのため、予め管轄の労働局等と相談しながら運用することをお勧めします。

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