請求を忘れやすい「休業特別支給金」

最近顧問先から通勤災害の報告を受けることが続いたので備忘のために記載します。
通勤災害では交通事故絡みが多いのですが、大抵の場合は相手方がいます。(これを第三者行為災害といいます)相手方がクルマで自分が自転車等の場合は、負傷により休業を余儀なくされるケースも少なくありません。第三者行為災害の場合、過失割合にもよりますが、まずは治療費も休業補償も相手方の自賠責保険等で処理され、労災保険は使わないケースもしばしばあります。

労災を使うか自賠責保険等を使うかは選択できる
自動車事故の場合、労災保険の給付と自賠責保険による保険金支払のどちらか一方を受けることができます。この場合、どちらを先に受けるかについては、被災者が自由に選べます。なお、自賠責保険に引き続いていわゆる任意保険による保険金支払を受けるか、若しくは労災保険の給付を先に受けるかについても、被災者が自由に選べます。
第三者の損害賠償(自賠責保険等)が労災保険給付より先に行われていた場合は、労災保険給付は受けられないのが原則です。しかし、労災保険には、保険給付のほか「特別支給金」という制度があります。この特別支給金は保険給付ではなく労働福祉事業として支給されるものですから、支給調整の対象にはなりません。

例えば休業給付の場合は、休業4日目から平均賃金の60%が労災保険給付として支給されますが、これに加えて同じく20%の特別支給金が上乗せされます。

例えば平均賃金1万円の人が通勤災害で30日休業した場合・・
① 10,000円×60%×27日分=162,000円が休業給付(労災保険)
② 10,000円×20%×27日分=54,000円が休業特別支給金
(3日分は待機期間として除外されます)
自賠責保険等から先に給付を受けていた場合、①は支給調整されるため受けられませんが、②は支給調整の対象となりません。
よく誤解されるのですが、損保会社から100%の休業損害の賠償を受けた場合でも特別支給金だけは請求することができます。

請求する場合は休業給付支給請求書(様式第16号の6)を使いますが、様式の上部に記載されている「休業給付支給請求書」のタイトルを以下のように二重線で消して使います。(特別支給金のみ申請しますよ、という意味)

なお、休業特別支給金も労災給付と同じく(労働不能となった日の翌日から起算して)2年の時効がありますのでご注意下さい。

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