台風により会社を休業したとき、従業員に給料を払うべき?

昨日は台風24号の影響で全国の交通機関に大きな混乱が生じました。
地域によっては深刻な被害があった報道もあり、改めて自然災害の脅威を感じさせられました。
余談ですが、個人的には先週末に予定していた、紅葉の北アルプス登山がこの台風で中止となったことが非常に悔やまれます。

それはともかく、今年は自然災害で会社が休業を余儀なくされたり、従業員が通勤できなくなるケースが多く発生しています。
こうしたとき、従業員の賃金をどうしたらよいか、という質問をよくいただきます。

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければならないとされています。
ただし、天災事変等の不可抗力の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。

ここでいう不可抗力とは

(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること

(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

の2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。

そのため、台風のような自然災害という外部要因により、公共交通機関への影響という事業主には避けるのできない事態が生じたため休業させた場合は、休業手当の支払義務は生じないものとされています。

よって、会社はノーワークノーペイ原則により賃金控除しても違法ではありません。とはいえ、従業員からしたら自分達の責任でもないのに控除されるのか?と釈然としない気持ちになりがちです。

そこで、実務的には「有休」や「特別休暇」で処理するケースが多いです。ただ、有休で処理する場合、入社して半年経っていなかったり、消化して手持ち有休がない場合もあります。

そうした従業員には恩恵的に休業手当(支給率は会社裁量)を支払うというのも、会社の対応としてはあり得ます。その他、台風直撃の可能性が高い場合は、あらかじめ就業規則に基づいて振替休日を実施する、という対応もあり得ます。

いずれにせよ、こうした自然災害時の勤務取扱いについては、予め会社としての対応ルールを決めておくのが良いかと思います。

例えば、大雨や暴風による警報の発令、震度5以上の地震といった客観性のある基準に基づいて休業判断をし、その場合の賃金の取扱いを予め決めておくと、その都度対応を迷わなくて済むかと思います。

次の台風25号が非常に強い勢力に発達しながら、今週末には日本に接近する可能性もあります。ご注意下さい。

写真は一昨年の涸沢です。

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